元工業技術院資源環境技術研究所長
    元筑波大学客員教授

    国立研究開発法人産業技術総合研究所名誉リサーチャー
    日本基礎技術(株) 社外取締役

    京都大学工学部資源工学科卒、工学博士

    所属学会
       資源・素材学会
       日本地熱学会

    受賞等
       叙勲:瑞宝中綬章

    専門分野: 資源・エネルギー(地熱開発)

    ・資源分野の業績

    1) 岩盤の機械的掘削の研究

    岩盤のボーリング効率向上を目的に、掘削の際ビットによる岩石の破壊メカニズムを明らかにした。ビットが岩石を破壊する際、ビットから岩石に加わる力を、光弾性モデルを用いた実験により明らかにした。さらに、ビット荷重によって岩盤内に生ずる応力分布を、有限要素法を用いて計算し、ビットとの接触面から岩盤がどのように破壊するかを求めた。これにより、ビット荷重、岩盤の機械的性質をもとに、掘削効率を求めることが可能となった。

    2) 岩盤の溶融掘削の研究

    高温において岩石がどのような状態になるかを、高温顕微鏡で岩石を加熱し、観察した。岩石の種類によって溶融する温度を明らかにした。次に火炎ジェットを用いて岩石を破壊し、岩石の種類による破壊メカニズムの違いを明らかにした。さらに、海洋資源開発を目的に、水中での火炎ジェットの使用可能性について検討した。また、炭酸ガスレーザによる岩石掘削の可能性についても検討した。

    3) 岩盤に加わる地圧の研究

    米国地質調査所において、地震予知のための地圧測定の研究に従事した。ボアホール内にジャッキによって岩盤に力を加え、岩盤が破壊する圧力と亀裂の方向から地圧を求める方法である。

    4) ロックボルトによる岩盤安定の研究

    地下空間を安定させるために使用されているロックボルトの現場的適用に関する研究を行った。鉱山において、支柱にロックボルトを打設し、採掘の進行と支柱の安定性の関係を求めた。

    5) 資源の動向調査

     金属資源の需要と供給の動向を調べるため、米国地質調査所が公表している鉱物資源の生産に関するデータを長年にわたって整理した。その結果から我が国における金属資源需給の問題点などを明らかにし、2013年に「レアメタル白書」として出版した。

    ・エネルギー関係の業績

    高温岩体地熱エネルギーの開発研究

    1)国際共同研究

     地下深部に存在する十分な地下水を含まない高温の岩盤から、エネルギーを抽出するための研究を行った。開発の方法は、アメリカのロスアラモス国立研究所で考案された。下図に示す通り、複数の井戸を深部まで掘り、井戸の底に圧力を加えて亀裂を発生させて他の井戸と繋ぎ、一方の井戸から水を注入し、他の井戸から熱水として回収することによって、エネルギーを回収しようとするものである。ロスアラモス国立研究所の呼びかけにより、国際エネルギー機関(IEA)の下での実施協定をアメリカ、日本、ドイツ3か国で1981年から86年にアメリカのニューメキシコ州で実施された。深さ4700mの岩盤から熱エネルギーを採取しようとする実験である。この共同研究は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施主体となり、資源環境技術総合研究所、電力中央研究所、三井金属鉱業(株)、石油資源開発(株)などが共同実験に参加した。私自身は、日本の代表者として参加し、研究成果をNEDOに報告するとともに、主として水圧によって地下深部の岩盤に発生する亀裂の大きさや方向などの研究を実施した。

    2)国内における研究

     国内における高温岩体地熱エネルギー開発のための原板実験は、1978年から岐阜県焼岳において実施された。500m程度の深さで、高温岩体は開発システムの基礎的研究を実施した。その後、IEAの共同研究に参加したこともあり、1985年に実験現場を山形県肘折に映した。
     この研究の実施主体はNEDOで、現場実験には資源環境技術総合研究所、電力中央研究所、地熱技術開発(株)、三井金属鉱業(株)、石油資源開発(株)などが参加した。この現場実験において、資源環境技術総合研究所は、NEDOに人材を派遣する一方、水圧破砕に関する実験室実験、回収されるエネルギーを求めるコンピューターシミュレーションなどを実施した。
    高温岩体地熱エネルギー開発の研究は、Engineered Geothermal Energy(EGS)と詠唱が変更され、現在も継続されている。

    □ 

    資源・地熱開発に関する質問、問い合わせを
    受け付けております

    学会委員(現在は任務を終了)

     日本学術会議         :第18期会員
     国際エネルギー機関(IEA)   :地熱実施協定高温岩体タスク部会長
     日本地熱学会         :会長
     資源・素材学会        :評議員
     日本エネルギー学会      :理事
     アルゼンチン科学アカデミー ;海外会員(終身)

    著書等

     地球温暖化の対策技術         オーム社 共著 1990年
     地球環境・エネルギーの最前線     森北出版 共著 1996年
     環境大辞典              工業調査会 共著 1998年
     エネルギー大辞典           工業調査会 共著 2002年
     レアメタル白書            新樹社 2013年

    Chat GPT による書評です
     「レアメタル白書」は、現代の貴重な資源であるレアメタルについて包括的に探求した書籍です。著者は、その希少性と重要性についての洞察に基づき、読者に新たな視点を提供しています。本書は、緻密な調査と専門知識に基づいており、レアメタルに関心を持つ人々にとって必読の一冊となるでしょう。
     本書の最大の魅力は、著者がレアメタルの存在とその役割を探求する上で持つ熱意と情熱です。彼の執筆スタイルは分かりやすく、科学的な専門用語を避けながらも、複雑な概念をわかりやすく解説しています。読者は、レアメタルが私たちの日常生活や技術革新に果たす重要な役割について、深い理解を得ることができます。
     さらに、本書は幅広い視点からレアメタルを分析しています。それぞれのレアメタルがどのような産業や技術分野で使われているのか、また将来の需要と供給の見通しについても解説されています。これにより、読者はレアメタル市場の動向や影響要因を理解することができます。
     また、本書は環境への影響にも焦点を当てています。レアメタルの採掘と生産には環境への悪影響が伴うことがありますが、著者はその問題にも真摯に向き合い、持続可能な解決策についても議論しています。このような視点は、レアメタル産業が将来的に直面する課題を考える上で重要な要素です。
     しかしながら、本書には改善の余地も見受けられます。特に、一部の章や節が専門的すぎて一般読者にとって理解が難しい場合があります。さらに、もう少し図やグラフを活用することで、情報を視覚的に伝える効果が高まるでしょう。

    資源・地熱開発に関する質問、問い合わせは下記からお願いします。